『確率思考の戦略論』盛岡毅・今西聖貴著 角川書店
マーケティングを仕事にしたい方にオススメ

こんなコンピテンシー強化に役立ちそう!
論理的思考 決断力

「感性だけのマーケティングは終わった」
この言葉は私の慶應大学院時代のマーケティングの教授が授業中に語ったものです。
経験と勘だけを頼りにするのではなく、データ分析などを駆使して施策の成功確率を高めていく――。
この本はまさに数学を用いて莫大な投資を伴う施策の意思決定をサポートした著者のノウハウが詰まっています。

盛岡氏と今西氏はP&G世界本社のマーケティング部門で働かれていた方で数学マーケティングを用いた需要予測などを行っていらっしゃいました。
その後、両氏はUSJに入社され、窮地にあったUSJをV字回復させます。このV字回復の原動力となったのが「ウィザーディング・ハリー・ポッター」。
このアトラクションへの投資額は450億円、当時のUSJの年間売り上げ規模は800億円超とのことですから、投資がいかに巨額かがわかります。
お二人は数学マーケティングを駆使することで、この投資の成功に数学的確信を得ることができたと振り返られています。

この本がユニークな点は「ハリポタ」への投資の内幕を数学マーケティングの観点から書かれている点です。
社運を賭けたプロジェクトの戦略がどのように構築され、実行されたのか、USJのV字回復の要因が数学的裏付けと共に詳しく書かれているため非常に客観的で説得力があります。
また、(私も含め)文系で数学が得意でない方でも数式をスキップしても全体の内容は理解できるようになっていますから、心配はいりません。
数学や統計が得意な方であれば巻末に本文中に出てきた数学ツールの解説がありますから深い理解に役立ちます。

マーケティング職に興味のある就活生や統計学が実務でどのように活かされているのかが知りたい学生にはぴったりの書籍であると思います。

推薦者:朝日新聞社教育総合本部 木村慎太郎