『なぜデザインが必要なのか』エレン・ラプトンほか著 英治出版

こんなコンピテンシー強化に役立ちそう!
解決意向 ヴィジョン 地球市民

就職活動で大切なことの一つは、未来予測です。もちろん予言者ではないので、正確に言い当てる必要はありません。世界が将来どういう方向に向かうのか、ざっくり考えるだけでも十分です。数十年後の地球で、自分が何をしていたいのか、イメージしてみましょう。そうすれば、これから伸びそうな業種や企業、今後身につけるべきスキルが見えてくるはずです。
 
この本は、その未来予測にとても役立ちます。私たちが直面する課題と、それをデザインの力で解決しようとするイノベーションが138個載っているからです。例えば、
 ・海の波の力による発電
 ・大きなビルの全フロアで食物を栽培する人工農園
 ・草を原料にした、プラスチックの代替素材
 ・組み立てや解体が簡単な次世代建築
 ・二酸化炭素を内部に閉じ込めるコンクリート
 ・発展途上国の呼吸器疾患を防ぐ低コストのコンロ
 ・人工知能とGPSを内蔵し、視覚障害者を誘導する杖
 ・太陽光で水をきれいにするシステム
など。各ページに載っている写真やイラストも美しく、魅力的です。
 
エネルギー、環境、食料、人口、経済格差、紛争、災害、教育、医療、など、世界には解決できていない大きな課題が山積しています。皆さんが将来どんな仕事をするにしても、何らかの形でこれらの問題にかかわったり影響を受けたりするでしょうし、その解決を試みることが、新しいビジネスにつながることもあるはずです。
紹介されている取り組みは、1つ1つは小規模なものもありますが、世界中の多くの人や会社が、それぞれの立場から課題に挑んでいることに、大いに勇気づけられます。
元々は、2010年、ニューヨークで開かれた同名のデザイン展の展示をもとにしており、日本のものも、無印良品のベッドや寝具、土に還る素材でつくる紙皿「WASARA」が紹介されています。

就職活動は、言い換えれば「自分の人生をどうデザインするのか?」を考える活動でもあります。世界中の優れたデザインに触れて、想像力をふくらませてください。

推薦者:朝日新聞社教育総合本部 藤田明人