『心を整える。 勝利をたぐり寄せるための56の習慣』長谷部誠著 幻冬舎 特徴のないサッカー選手が日本代表キャプテンになれたたった一つの理由

こんなコンピテンシー強化に役立ちそう!
感情コントロール

「若干26歳の人にこれができるんだから、自分にできないはずがない!!」
これが私の読了後の第一声である。かのサッカー日本代表の名キャプテン長谷部選手をつかまえて、この厚かましさ。

ただ、この本を読むと不思議と、自分でも長谷部選手のようになれるのではないかと思わせられる。それは彼が自らの生来の弱さに正直に触れながら、試行錯誤するなかでたどり着いた考え方と、具体的な取り組みを紹介しているからだろう。

私はいまIGSという渋谷のスタートアップでCOOを務めているが、もともと、意識の全てを仕事に向けてしまって、仕事上のトラブルや意見対立を寝床にひっぱったり、Slackに常時返信してしまうようなところがある。いきおい、健康管理やプラベートはなおざりになりがちだ。ひとたび仕事のスイッチが切れてしまえば、とたんにだらしなく、部屋も散らかりやすい。物理的にも精神的にも、なんとも整理整頓が苦手な人間である。

だから、「このスタイルでは限界がくるのではないか…」と常々思っていた。

長谷部選手は、
「心とは車で言うところの『エンジン』であり、ピアノで言うところの『弦』であり、テニスで言うところの『ガット』なの」だという。メンタルは、強くするというよりも、調整する、調律するという感覚だという。

これは目からウロコであった。
いまより強い心を持つのは難しいが、いまの心を整えるだけなら、そういう行動を取りさえすればいい。何かを産み出すのは困難だが、行動を真似るのは簡単だ。長谷部選手になったつもりで、彼だったらどうするだろうかと考えればよい。

「①寝る1時間前になったらリラクゼーション音楽を流す。②お香を焚く。③高濃度酸素を吸う。④特製ドリンクを飲む、⑤アルマオイルを首筋につける。⑥耳栓をする」という彼の習慣は、

「一日1回、深呼吸をして、必ず心を鎮める時間をつくりなさい」という京セラの稲森さんの言葉に支えられている。

「朝起きたら簡単にベッドメイキングをする。本棚は乱れていたら整理する。ダイニングテーブルの上には物が散らかっていないようにする」という習慣は、

「整理整頓とは人生の半分である」というドイツのことわざに由来する。

いずれも、感情や体調を良好な状態に保ち、プロのサッカー選手としてのパフォーマンスを最大化するための行動だ。

真似てみるものである。
実際にリラクゼーションの音楽をつけると、『寝るための準備』の30分がきちんと始まる。電気を薄暗くすると、不思議とこれまで習慣化できなかった柔軟体操(ストレッチ)をするようになる。

朝起きるのが辛くて、乱雑に布団が散らばっていたベッドも、寝る前の状態に復元する日々が続いている。日中も調子がいいし、何より心に余裕がある。

そっくりそのまま真似る必要はないのだろう。人それぞれ向き合ってる課題は異なるし、長続きするやり方も違う。スポーツ選手でもないのに、毎日、高濃度酸素を吸ったり、特製ドリンクを飲むのは少しやり過ぎかもしれない。

だが、心は強くするものではなく、整えるものと考える。見本となる人の行動を真似ていく。そうした些細なことが、自分のあり方や他者への接し方を大きく変える。その可能性に心が躍る2017年の年始めとなった。

Institution for a Global Society株式会社 COO荒牧国晴