キャビンアテンダント職の現場
多文化共生の職場で自分らしく働くには
“感情をコントロール”できることが大切

CA職に必要なコンピテンシー
感情コントロール 外交性 寛容 誠実さ
組織へのコミットメント

元エミレーツ航空 キャビンクルー
(現フランス政府留学局 関西オフィス)
大八木美穂(おおやぎ みほ)さん

誠実な姿勢で仕事をすることで
やりがいも楽しさも倍に

――大八木さんはフランス留学後、エミレーツ航空に就職し、キャビンアテンダント(以下、CA)として活躍されていました。CA時代の仕事内容を教えてください。
「一番重要な役割は、お客様を目的地まで安全にお連れすることです。機内装備に不具合がないかということからテロ対策まで、お客様の命を守る保安要員としての業務がいちばんの仕事になります。さらに、快適な空の旅を楽しんでいただくためのサービス提供、時には救護することも。そのために必要な知識、機内で倒れてしまった急患の対処法から助産師の役割といったことまで、機内で起こり得るあらゆることを想定した救急処置(ファーストエイド)を習得しました。サービス以上に必要な知識が必要な職業なのです。色々な国の人とふれあいながら世界中を旅できる仕事だと思って就職しましたが、想像以上に、専門知識を要する仕事だと感じました」

――大八木さんが仕事をするうえで、一番大切にしていたのはどんなことでしたか?
「“誠実さ”です。どんなことでも嘘をついてしまったらよくないと思っていますので。それを心掛けたことで、お客様から嬉しい言葉をいただいたことがありました。印象に残っているのは、座席に付いている液晶画面が壊れて使えなくて激怒されていた日本人のお客様からかけていただいた言葉です。その時、上司は謝罪するべきだがそれ以上のサービスは必要ないという見解でした。私としては同じ日本人としてお客様が怒る気持ちが分かるので、なにかしたかった。そこで誠実な気持ちで接するべきだと思ったんです。満席で席を変えられないことや、代替となるサービスを探していることなどを丁寧に説明していった。そんなやりとりをしているうちにお客様の怒りが治まり、飛行機を降りる時に『あなたのおかげで快適だった』とおっしゃっていただいたのが嬉しかったですね。誠実に仕事をすることが大切ということを改めて実感しました」

全ては、最高のサービスのために!
「寛容」「感情コントロール」そして、「組織へのコミットメント」

――保安要員から救護法まで専門知識が必須となるCA職に必要なコンピテンシーはどんなことだと思いますか?
「いちばん大切なのは“感情をコントロール”することじゃないでしょうか。フライトを担当するクルーはその都度異なり、そのとき初めて話す方もいました。相手に悪気はなくてもきつい言い方だと感じた時もあった。そんなときでも感情的にならず“寛容”な気持ちで真摯に向き合うべきだなと。相手を尊重しながらも自分の意見をきちんと伝え、理解し合う姿勢でいることが、気持ちよく働けることに繋がる。また、緊急事態に陥ったときも感情をコントロールすることが求められます。何が起きても慌てず、冷静に対応することが必要とされる仕事ですから」

――“感情コントロール”“寛容”以外にもありますか?
「“組織へのコミットメント”をすることも必要だと思います。働くときの心構えとして大切にしていたのは、会社が掲げる「make someone’s day」(幸せな気分にさせる)というスピリット。せっかくエミレーツを利用してくださっているので、お客様にとって特別な一日になるお手伝いができればと思って働いていました。たとえば、旅行好きの老夫婦から今回の旅が最後だというお話を伺ったときは、クルーがポストカードに寄せ書きしてお渡ししたり、ハネムーンのカップルにはポラロイドカメラで写真を撮ったり。些細なことですけど、特別な思い出になればな、と。サービスに関してはマニュアルがあるわけではないので、組織が掲げる方針に沿って自分が考えて積極的に行動するよう心掛けていました」

CA時代に役立ったのは
学生時代のアルバイトで培った「チームで達成する力」

――CA職に必要なコンピテンシーを培うために、学生の頃にできることはありますか?
「学生時代にスターバックスコーヒーでアルバイトをしていたのですが、振り返ってみると当時の経験が役立っているのかなと。いちばん役になったのは、組織に属する以上、会社のためになることをみんなで協調しながらすべきということ。仕事を効率的に進めるためのアイデアが浮かんだときでも勝手にやらず、周りと相談して了承を得てから事を進めるべきということを実感しました。時には賛同を得られないこともありましたが、どう働きかければ意見を通せるかを考えてやってみる。そんなことを繰り返しているうちに、意見が異なる人への働き掛け方、ネゴシエイトや物の伝え方も学びました。いろんな国籍のお客様や同僚、先輩など、いろんなステックホルダーの中でにこやかに仕事をしなければならないCAの仕事をする上での基盤になっていた気がします」

――CAを目指す学生にメッセージをお願いします。
「自分が好きなこと、一生懸命やりたいことを1つ見つけてやるべきだと思います。旅をする、サークル活動をする、アルバイトする、勉強するでもなんでもいい。私は国際政治について一生懸命勉強しましたし、多文化に興味があるので留学もしました。アルバイトにも打ち込みましたね。学生時代にいろんな人と会って意見を交わして時にはムカついたり、時には感化されて影響を受けたりしたことが、職場で人間関係を築く上で役立ったなと。振り返ってみるとそう感じます」