あなたなら無人島でどのように決断する?

【日中韓のアメリカ大使館が企画したリーダーシッププログラム~その2~】

『誰を救うのか?』

無人島での差し迫った状況を想像してください。

2日目はこのシミュレーションから始まりました。次がそのシナリオです。

■あなた(日本人)は、他の6人とともに無人島に不時着しました。日本人2人、中国人2人、韓国人2人です。この時に、1人乗りのボートのみがあります。1人だけが生き残る可能性が高いのです。このボートに乗らないと、無人島でおそらく死んでいくでしょう。
■あなた以外のもう一人の日本人は、世界的に有名な感染予防の専門家で、今世界的に十数万人に蔓延している死に至る感染症を止める力をもっている数少ない学者の一人。
■韓国の一人は78歳の老人で、助けが来るまで体力がもちそうにない。また、中国の一人は子供が生まれそうな妊婦です。
■あなた(日本人)は、グローバルかつ功利主義的(一例:ベンサムの最大多数の幸福)な価値観を持ち、日本人や韓国人といったことは関係なく、長期的に世界のためになることを行いたいという社会起業家です。

あなたは誰を救うように議論をしますか?社会起業家としての自分の価値を認めて、自分を助けてほしいというのはなかなか難しい状況です。

私は、この起業家の役を担いました。価値観として功利主義をとるため、長期的に一人でも多くの人が生き残る可能性が高いと思う人を生き残る一人にしたい。とすれば、同じ日本人の感染予防の専門家をボートに乗せるべきと考えたのです。そこで、この感染予防の専門家をボートに乗せるように説得するのです

私は社会起業家としての役割を強調しつつ、功利主義的な立場から説得しようとしました。

しかし全くうまくいかない。。

考えを巡らせました。

個人的な経験ではリーダーという立場にたっている時間が長いので、ある意味、自分はAuthority(権威者)として、ふるまっていたのかもしれないのではないか。そのために、老人か妊婦かにするべきだと主張する他の韓国や中国のメンバーに全く聞く耳をもたなかったのではないか。

私は、誰も自らのことをAuthorityとは考えていない状況でのリーダーシップを発揮するために、『相手の感情に訴える』作戦に出ました。前回の『Narrative』、GROWのコンピテンシーでは、『表現力』です。世界で感染症により苦しんでいる子供たちの状況について、相手を説得すべく話をしました。

しかし、まわりの反応は鈍いのです。久しぶりに無力感を感じました。

私に足りなかったのは何だったのか?

自分が誰からも権威者としてのリーダーとしてとらえられていない。さらに初めて会う中国や韓国のメンバーたちに対してどのようにふるまうべきか?

今回のリーダーシッププログラムを通じて感じたこと。それは、中国、韓国のメンバーはアジアのコンテクストにおいては、日本人というものが権威者的にふるまうと捉えられ、最初からネガティブな感覚を持たれているということです。

私が使うべき力は、Narrativeに加えて、Trust(信頼)、Wisdom of Crowd(集合知)と、Generative Inquiry(発見・質問力)の組み合わせだったと後になり学びました。次回この学びについてお伝えします。

福原正大(ふくはら・まさひろ):IGS社長
慶應義塾大学、INSEAD(MBA)、グランゼコールHEC(with Honors)、筑波大学博士(経営学)。バークレイズ・グローバル・インベスターズ(Managing Director、取締役)を経て、2010年、グローバルリーダー育成の教育ベンチャーInstitution for a Global Societyを設立。