説得するということ

【日中韓のアメリカ大使館が企画したリーダーシッププログラム~その3~】

前回は、私が日中韓のはざまで、AUTHORITY的なリーダーシップを使えない中で、リーダーシップを発揮することに苦しんだことをお話しました。

ある意味、仲間同士が友好的な関係に必ずしもないときに、リーダーシップを発揮するためにはどうすればいいかということがこのエクササイズの学びでした。

そのために有効な方法を理解するために必要な言葉の整理をしましょう。East-West Center(EWC)では下記のように定義しています。

Trust:リスクを冒して行動するまでに自らを信じてもらうこと
Wisdom of Crowd:集合知のこと
Generative Inquiry:発見し、質問をし続けること

GROWのコンピテンシーで言えば、『誠実さ』『地球市民力』『共感・傾聴力』『表現力』があたります。

友好的でない状況であなたにまず必要なことは、Wisdom of Crowdを信じること。一人よりも、集団で考える方がよい結果が生まれる可能性です。危機時には一人で決めるほうがいいことも実際はあるのですが、ただ友好的でない状況で、あなたがそのリーダーとしてふるまえる可能性はありません。

次に、Wisdom Crowdを信じて、皆の意見をききながら、各人の意見をまとめていくということ。決して自分が結果を知っているかのようにふるまわず、自分なりの考えをいれながら『質問を続けていく』、つまりGenerative Inquiryです。その時に、自分自身のためにではなく、皆のために質問をし続けていることを相手に信じてもらうことが大切。Trustを構築できるかどうかがポイントです。

もちろん結果としてあなたの考えが通るかどうかは分かりません。ただ、Authority的な立場に立つよりも成功する可能性は高いことは間違いありません。

ところで、今回のシミュレーションで私が置かれた状況、何かに似ていませんか?

今の日本のアジアで置かれている立場です。日本は戦後アジアの成長をけん引するリーダーとしてアジアの成長を率いてきた自負がある一方、アジアの急速な成長の中でそのリーダーシップの立ち位置が危うくなってきている。新しいレジームに十分に対応できていないということです。

みなさんは、こうした新しいレジームの中で、リーダーとしての役割を負うことになります。アジアでのリーダーシップ力を獲得するため、今回のシミュレーションとその対応法を参考に、GROWでコンピテンシーを伸ばし、将来に備えてください。

次回は、真珠湾攻撃の戦跡にアメリカ、中国、韓国の皆と訪れて、Reconciliation(和解)の可能性について話したことをお話します。

福原正大(ふくはら・まさひろ):IGS社長
慶應義塾大学、INSEAD(MBA)、グランゼコールHEC(with Honors)、筑波大学博士(経営学)。バークレイズ・グローバル・インベスターズ(Managing Director、取締役)を経て、2010年、グローバルリーダー育成の教育ベンチャーInstitution for a Global Societyを設立。