Reconciliation(和解)

【日中韓のアメリカ大使館が企画したリーダーシッププログラム~その5~】

アジアの平和は訪れるのでしょうか?

みなさんの多くは就活について考えていらっしゃると思いますが、企業人になっても、この問題は企業戦略にも大きな影響をもちます。もちろん、アジアの一員として、また日本の安全保障的な観点からも、非常に重要です。

日本の中国と韓国への感情は残念ながら非常に厳しいものがあります。内閣府の『外交に関する世論調査』(2016年1月実施)によると、日本の86%の人が日中関係を良好だと思っておらず、親しみを感じない人が83%と過去最高。対韓国だと、73%が良好だと思わず、65%が親しみを感じていません。

ここから考えると、アジアの未来が明るいようには思えません。

一方で、この率が高いのは30代以上であり、20代の人たちはこの数値が下がります。親近感だけ見ると、20代では対中国が74%、対韓国が59%です。これは未来への希望です。

私はこの一週間の経験を通じて、当初のアジアの未来は自分が生きている間には難しいという考えから、できるかもしれないという気持ちに多くシフトしました。

参加者同士の関係が深まり、Trustが形成され、Wisdom of Crowd、Generative Inquiryを共に自らの力にしていく中で、全員が明るい可能性を感じてきているのを実感したからです。GROWのコンピテンシーでいうところの、『誠実さ』『地球市民力』『共感・傾聴力』『表現力』の獲得です。

同時に考えたことは、私たちがリアリズムから離れて未来志向になれるかです。中国からの参加者が多く言っていたのは、『なぜ、皆、中国を仮想敵国に置くのか?』という問いかけです。リアリズム的なアプローチ(戦力の均衡・差を考える)で世界の状況をみるとそのようになるのですが、一方で将来を見据えて考えるとこの状況は結果として最悪の結果を招くように感じます。

最終日に、アメリカの外交官からの話が出たときに、韓国の仲間からでた言葉が非常に印象的でした。彼は南北韓国統合を目指す機関の代表です。

『これまでは、欧米がルールを作ってきたかもしれない。欧米のルールは人間が真に欲する部分を目指しているというが、それでも欧米の価値観が色濃く出ており、アジアの私たちの価値観とうまくいかないところもある。リアリズムだけでなく、未来志向を志し、よりInclusiveに、そして高いレベルでの統合を目指して、私たちは欧米のルールを少しずつ、世界を巻き込みながら新しいものをつくっていけないものか。』と。

彼は、簡潔に、相手の感情を動かすような話として語りました。まさに、初日の自己紹介で学んだNarrativeの実践です。そして、この発言には、未来を指向すると同時に、今回の学びのすべてが入れ込まれています。

就活は大切ですが、その後みなさんのリーダーとしての振る舞いこそが、未来の平和な世界を構築します。リーダーとして、コンピテンシーを獲得し、未来志向で一緒に素晴らしい世界をつくっていきましょう。

福原正大(ふくはら・まさひろ):IGS社長
慶應義塾大学、INSEAD(MBA)、グランゼコールHEC(with Honors)、筑波大学博士(経営学)。バークレイズ・グローバル・インベスターズ(Managing Director、取締役)を経て、2010年、グローバルリーダー育成の教育ベンチャーInstitution for a Global Societyを設立。