人材? 人財? 企業も採用は命がけ。

最近、企業の方と名刺交換すると、部署名に「人財部」「人財開発課」などと、人材ではなく、「財」をあてて「人財」と使っているところを見かけるようになりました。

うかがうと、「社員は会社の大切な財産であるということで、うちは材料の材ではなく、財産の財を使っています」ということだそうです。
近年、この書き方がたいへんはやっていて、辞書にも載るようになりました。特に、採用、社員研修など学生と近い部署で「人財」が使われているケースが多いようです。

みなさんにとって就活は人生の一大行事ですね。
私は就活生に向けたムック「アエラ企業研究シリーズ」などの編集をしていますが採用は企業側にとっても、まさに社運を賭けた一大行事なのです。
激変する時代。昨日のビジネスモデルがあっという間に通用しなくなる。企業はつねに変化し続けていかないといけない。
企業に新しい若いエネルギーを注入してくれ、何年、何十年と会社を支え、いずれ会社を引っ張っていってくれる新人は、かけがえのない「宝物」です。どんなに経営的に苦しい時でも、企業は生き残っていくために、採用には手間をかけコストをかけ、懸命に取り組んでいるのです。
人が企業を生かしもし、殺しもする。「人財」という言葉がはやっている背景には、企業側の真剣な思いがあるように思います。

ただし、もともとの「人材」が、「人を単なる材料とみている言葉」なのかといえば、これは正しくはありません。
漢字のなりたちからみると、「材」の字は「木へん」に才能の「才」が結びついでできたもので、「役に立つ素質・能力」という意味があり、人材はそういうものを持つ人物、という意味です。「逸材」「偉材」といった類語もあります。
「人財」は最近は辞書にも載るようになりましたが、その解釈として「俗に、企業にとって価値のある人材」(『大辞林』)などとなっています。人財はより企業の思惑が透けてみえる言葉ではありますね。
かなり市民権を得てきているというものの、エントリーシートや作文などで「御社を支える人財に……」などと書くと、単なる書き間違いと思われる可能性が高いので、これらでは使わない方が無難かも。

いずれにせよ、企業は、この時代の最前線にいて新しい発想を持つ学生たちと出会いたいと切に思っています。今年は景気回復から売り手市場といわれてはいますが、人気企業には学生が多く集まりますし、就活は楽ではありません。
どうか、自分は期待される「人材」であり「人財」であるという気概と自信を持って門をたたいてください。

アエラムック教育編集部部長
友澤和子
ともさわ・かずこ/「アエラ大学ムック」「AERAイングリッシュ」などの編集長。新聞・雑誌記者時代、教育問題を多く取材。「朝日新書」創刊に携わり、『一日一生』などベストセラーを多く手掛ける。「AERA」副編集長を経て現職。高校生、中学生の2人の母でもある。