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「この世で最大の不幸は戦争や貧困などではなく、『自分は誰からも必要とされていない』と感じることなのです」

写真ⒸAsahishimbun

ノーベル平和賞を受賞した修道女 マザー・テレサ


ビジネスに役立つ言葉たち

マザー・テレサは、インドで貧しい人や体の不自由な人、病気の人などのために献身的な活動をした修道女です。人々の記憶に残る言葉をたくさん残しています。そのひとつがこれです。テレサは、自分が手をさしのべる対象に「誰からも必要とされていない人」も挙げていました。

長く生きていると、テレサの言葉がよくわかります。自分が必要とされていることを感じることで、生きる力がわいてきます。俗っぽい話になりますが、会社でもそうです。「仕事が振られなくなってラッキー」なんて喜ぶ人はほとんどいないと思います。少なからずショックを受けて、焦りを感じるでしょう。

以前こんなニュースがありました。富山県の運送会社に勤めていた人が、会社の違法行為を内部告発した仕返しに、32年間仕事らしい仕事を与えられず定年を迎えたのです。この人は定年前に訴訟を起こし、会社の不当な仕打ちが認められ、賠償金を得ました。私は、会社の仕打ちに怒りを覚えるとともに、この人が32年間も必要とされない状態で会社に居続けたことに驚きました。よほど強い精神力がないと、できないことだと思います。

「必要とされること」が幸せな会社生活を送るうえで大切なことだとすれば、そのためにはスキルを身につけることです。語学力でもデジタル力でも、ある分野における突出した知識量でも、あるいはコミュニケーション力でも何でもいいのです。余人をもって代えがたく、会社にとって必要なスキルがあれば、邪険にはされないはずです。

もうひとつは、会社との相性をよく考えることです。会社が求めているものと、自分の能力ややりたいこととがずれていると、必要とされなくなっても仕方がありません。就活の時には、そうしたズレがないかどうかよくみて、不幸を避けるようにしましょう。

朝日新聞社 教育コーディネーター
一色 清(いっしき・きよし)
1978年朝日新聞社入社。福島総局、成田支局、経済部記者、週刊誌「アエラ」編集部、経済部次長を経て、2000年「アエラ」編集長。beエディター、出版本部長補佐などを歴任。08年10月から11年3月までテレビ朝日「報道ステーション」コメンテーターを務めた。共著に『知の挑戦 本と新聞の大学』(集英社新書)。