「ボクはあなたを幸せにする自信はありません。でも、ボクが幸せになる自信はあります」

写真ⒸAsahishimbun

映画「釣りバカ日誌」より  ハマちゃんがみち子さんにプロポーズしたときの言葉

ビジネスに役立つ言葉たち

 
釣りバカ日誌は、小学館「ビッグコミックオリジナル」で1979年から連載している人気漫画です。映画も人気シリーズとなり、1988年から2009年まで22作品もつくられました。主役は、釣りバカを自他ともに認める万年サラリーマンの浜崎伝助。西田敏行が演じました。自分の会社のオーナー社長であるスーさんこと鈴木一之助が釣りの弟子ですが、会社ではもちろん内緒になっています。スーさんは、名優三國連太郎です。ハマチャンの奥さんのみち子さんは、かわいくてしっかり者でやさしくて、ハマちゃんにはもったいないと思わせる理想的な奥さんです。7作目までは石田えりが、8作目からは浅田美代子が演じました。

何作目かは忘れましたが、私が忘れられないセリフがこれです。みち子さんが明かしたハマちゃんのプロポーズの言葉です。みち子さんは、「ハマちゃんってとても自分勝手なのよ」とうれしそうに言います。なぜうれしそうに言うのかはおわかりと思いますが、「自分が幸せになる自信はある」というのは、無責任なことは言わない誠実な態度でもあります。もちろんその先には、「自分が幸せになれば、きっと相手も幸せになる」という意味が込められています。とてもすてきなプロポーズの言葉だと思いました。

この言葉は、仕事にも通じます。新聞記者の世界でたとえてみましょう。「自分はいい記事だという自信はありませんが、読者にいい記事だと思わせる自信はあります」という記者がいます。もうひとり、「読者にいい記事だと思わせる自信はありませんが、自分はいい記事だという自信はあります」という記者がいます。どちらが信用できそうですか。私は、後者です。まず自分が満足するかどうかがあって、それから読者(お客さん)の満足があると思います。自分がいい記事だと思わないで、どうして読者の心を動かせるでしょうか。

自分が幸せにならなければ、周りも幸せにできない、というのは真実だと思います。仕事で幸せになるというのは簡単ではありませんが、幸福感を感じながら仕事ができれば、自分にとっても会社にとっても家族にとってもこんないいことはありません。自分が面白がれそうな仕事を選び、できるだけ面白がって仕事をしましょう。どうしても無理なら、仕事を変えましょう。「自分が幸せになる」ことが一番大事だということを忘れないでください。

朝日新聞社 教育コーディネーター
一色 清(いっしき・きよし)
1978年朝日新聞社入社。福島総局、成田支局、経済部記者、週刊誌「アエラ」編集部、経済部次長を経て、2000年「アエラ」編集長。beエディター、出版本部長補佐などを歴任。08年10月から11年3月までテレビ朝日「報道ステーション」コメンテーターを務めた。共著に『知の挑戦 本と新聞の大学』(集英社新書)。