第25回 人口減の日本、増加のアフリカ

(写真):フランス・ニース市内の噴水で飛び回る子どもたち。昨年同市で起きたテロ後に撮影したもの。子どもは社会の希望だ。(©Kiyori Ueno)

連載:世界は広く、おもしろい!

日本のみなさま、明けましておめでとうございます。本年もこのコラムを書けるのを楽しみにしています。どうぞよろしくお願いいたします。

お正月は必ず日本で迎えると決めているので、一時期帰国中の日本でこの記事を書いている。

今年の新成人人口は昨年よりも増加したそうだが、これはベビーブーマー世代の親たちの子どもたちが成人になったという理由が背景にあるとのことで、一時的な現象らしく、全体として人口減のトレンドであることに変わりはない。

この日本の人口減問題は、私が日本に帰るたびに必ず目にする話題だ。もう10年以上も前からかなり大きな問題としてマスメディアでもいつも取り上げられている。しかし私が驚くのは、このように問題として長年上がっているのにもかかわらず、どう解決すればよいのかについて議論が全く変わっておらず、人口減に歯止めがかかっていないことだ。まるで日本の債務=国の借金の問題のようである(日本の債務はGDP比で世界の主要国でいまだに最大である)。

一方、アフリカの人口は増え続けており、現在のペースで行けば今世紀半ばに大陸の人口は今の倍の24億人になる。私が暮らしていたエチオピアの人口は約1億人で、増加率は年間2.48%だ。2010年には8700万人だったのが、あれよあれよと言う間に1億人を突破した。

年齢別の人口ピラミッドを比べると、日本とエチオピアは全く異なる形をしている。エチオピアは若い層ほど人口が多い、三角形だ。街を歩いていても、赤ちゃん、子ども、若者がほとんど。一方、日本は40代前半までが逆三角形で、40代後半以上はベビーブーマーたちの層は多いものの、その上がほぼ三角形となっている。日本に帰ってくると高齢者の姿がはるかに多いのにびっくりする。

もちろん、人口増加だからといって未来明るいという訳ではない。アフリカでは若者の失業者は増えており、大きな社会問題の1つになっている。けれども大家族制が残るアフリカでは、家族の中で数人人数が増えても大した問題にはならない。

翻って日本。よく、人口が減ってもいいのではないか、という意見を耳にする。確かに、今の経済力=豊かさを保持したまま人口が減るのだとすれば問題はない。しかし、なぜ人口減が問題なのかというと、経済力が落ちる=貧しくなる、ということを意味するからだ。

また、人口減の背景に、子どもを持ちたいのに持てない人があまりに多く、その結果として人口減が起きている面がある。子どもを持つことがあまりに大変になっている社会が日本である。これは本当に不幸なことだ。

私は移民を他国から日本に呼び込む以外に人口減問題を解決する方法はないと思っている。けれども、日本でそれは起きないだろう。移民という異質なものを受け入れるよりも、日本はこのまま「鎖国」を続けて、国が衰退していくのを、(積極的な選択をしないという形で)選ぶような気がする。そうならないように祈っているが。

2017年。今年は元の国連の仕事でナイジェリアに行く。ナイジェリアはアフリカで最大の経済を誇る国だ。人口もアフリカ一で、日本よりも既に多く、1億9000万人。人口ピラミッドはやはりきれいな三角形だ。この国から日本がどのように見えるのか、報告していきたい。

上野きより ジャーナリスト、フォトグラファー、元国連機関職員
信濃毎日新聞社、ブルームバーグ・ニュース東京支局などで記者として働いた後、国連世界食糧計画(WFP)のローマ本部を経て、食糧支援の現場であるエチオピア、ネパールで働く。2016年から独立。米国コロンビア大学国際関係・公共政策大学院修士課程修了。慶應義塾大学文学部卒業。東京出身。