大学の意味ってなんだろう

(左から、福原IGS代表、古田さん、福村さん、麻生さん)

福原 最近の学生は海外志向が薄れ、日本で働きたい、あるいは地元以外では就職したくないという学生も増えているようです。ただ、これから日本の市場が縮小し、経済成長が望めないとその希望はかなえられなくなっていくでしょう。今の学生は、そういう20年、30年後のことを考えずに就活しているということなのでしょうか。

麻生 そもそも世界の潮流に興味がなく、やりたいことをやっているだけ。自分が何の目的を持っているか、社会にどう求められているかといったことには一切興味がない人もいるかなと思います。

福村 現時点での生活がこれからずっと続けられる、自分が志を高くして社会にアプローチしなくてもいい、という感覚が強い気がします。ただ、たとえば東南アジアに行ってみると昔に比べて格段に物価も人件費も上がっていて、経済のあり方が大きく変わってきていることを実感できる。「就職は地元でなければいやだ」という人は、もしかしたらそういう経験がなく気づきに至っていないのかもしれませんね。

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古田さん

古田 女性はいまだに名の通った会社に入り、いい結婚相手を捕まえたいという意識が根強くあります。結婚がゴールで、そこまでに何をするかという観点でキャリアを考えている子が多いですね。女性であることを活かして就職を目指そうというしたたかな学生もいる反面、企業側も女性に専門性のある仕事をやらせなかったりする。そこで結局、マッチしてしまっているというのは感じます。

福原 「GROW」のコンセプトとして、学生時代に「コンピテンシー」を伸ばすということがあります。アイセックとして、何かコンピテンシーを伸ばすことに対して意識していることはありますか?

麻生 今の大学生は、やりたいことや自分が何をやるかの「what」しかなくて、なぜそれをやりたいか、それに対して自分がどう貢献していけるかという「why」「how」を考える機会がない。アイセックに入って初めて「世界の中で自分はどう有りたいか」とか、自分の強みを考える機会が与えられると思っていますし、自分が依存していた日本国内の環境から出て世界に出ることは大きな意味があると思います。

古田 様々なバックグラウンドを持つ人と接することが本当に重要だなと思います。日本国内はもちろん、世界126の国と地域の人たちと接して宗教観を始め本当にものの考え方、見方がそれぞれ違うと気づかされた。外に出ることで自分ということを深く理解できるということがあると思います。

福原 そうすると、みなさんにとって「大学」ってどんな意味があるんですか?

福村 教育のあり方そのものがITの浸透によって変わってきている。個人が自分の求める情報を簡単に手に入れられるようになり、ウェブを通じて大学に匹敵する教育を受けられる「コーセラ」や「エデックス」といった仕組みもできあがってきているので、私自身は大学の機関はあまり機能していないのかもと感じています。

麻生 私は理系なので、かなり大学にはお世話になりました。フィールドワークなど、座学だけではない実践的な教育を受けられたので、そこは大学のいいところだと思っています。ただ、ほかのカリキュラムでもそれが保障されているのか、また、ただカリキュラムをこなすのではなく学生に主体的に考えさせることができるだけの経験を教員が持っているか、という問題がありまして、大学の中でもピンキリだなと思います。

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麻生さん

古田 大学で学んだこととアイセックでの実践活動は相互に影響しあっていると思います。大学でのアカデミックな基盤の上に実践があって、インプットとアウトプットで得られるものは違う。大学で教えられるような一つの見方だけではなく、例えばいろいろな国の人と話すことで多面的にものごとをとらえ社会的課題について自分事として考えていけるようになるのがアイセックだと考えています。

福村 それは大学生全体を見れば理想にかたよっている気がしますね。自分を修養するという目的ではなく「いい企業に行きたい」「他人から評価されたい」という動機で勉強したり、あるいは何もしない学生が多いのかなと思います。

古田 そこは、インプットしたものをアウトプットする機会に触れているかどうかで大きく違うと思いますね。

福原 そういう機会に出会わないまま、就活の時期になると急に「できる自分」をアピールしはじめるわけですね。