そこには「壁」なんてなかった ~海外で働くということ

「いつか、海外で働いてみたい」
漠然とそう思っている人は多いのではないでしょうか。
昨今のビジネス現場の急激なグローバル化で、ほとんどの企業が何らかの形で海外と関係しています。望むと望まざるにかかわらず、会社に入ると、海外と関係する仕事をすることになることもあれこれあるでしょう。

 海外でバリバリ働く……というと、高度な語学力はもちろん、海外でのビジネスに対応する「何か特別な力」が必要ではないかと思っている人が多いかもしれません。
『日本IBM by AERA』(朝日新聞出版http://publications.asahi.com/ecs/detail/?item_id=17665
)で、米国で働く日本人ビジネスマンにインタビューしました。日本IBM社で10年ほど働いたのち、米国派遣を経て、米国IBM社に転籍したという方です。
 日本で生まれ育ち、日本の大学を卒業、日本で就職。米国へ飛び出すことに、「壁」のようなものはなかったのかと尋ねてみると、ちょっと意外な答えが返ってきました。

「当時は、自分なりにすごい決断をしたという気分でいましたが、実際に米国に来てみたら、家族と新しい生活を立ち上げるということを除いては、仕事については、思ったほどの『壁』はなかったんです」

 日本で育ち、日本の教育を受け、日本でビジネス経験を積んだことが、米国でのビジネスにおいてとても役立っているというのです。
 どういうことかというと、日本の家庭や学校の教育はわりとしつけが厳しいので、約束や時間を守ること、ものごとを丁寧にすること、周囲への気配りといったことが自然に身についている。また、日本で就職した人なら、会社や仕事への忠誠心のようなものや、自分の顧客へ貢献したいという気持ちを当たり前に持っていることが多い。そうしたことは、実は、世界的にみたら非常に価値があるそうです。
このような社会背景のなかで、非常にレベルの高いサービスやシステムを日常的に享受してきている。これが海外で働くうえで、とても有利だというのです。

では、海外で活躍するうえで、必要なものはなんでしょうか。
「言葉と海外でのプロトコル(儀礼、作法)、多様性の理解」とのこと。これらをクリアすれば、国際的に十分競争力を発揮できる、とその方は語ってくださいました。

その国の言語をしっかり学ぶとともに、その国の文化や習慣などを理解し、また多様な背景を持つ人々がいる環境を理解したうえで、日本で培ってきたものさまざまなものを武器に仕事をすれば、大いに活躍できそうです。

会社に入ると、さまざまなことを経験するでしょう。その経験を積むことがすなわち海外で活躍する力をつけることです。ぜひ、出会うことすべてにチャレンジして、恐れず、一歩一歩成長していってください。

アエラムック教育編集部部長
友澤和子
ともさわ・かずこ/「アエラ大学ムック」「AERAイングリッシュ」などの編集長。新聞・雑誌記者時代、教育問題を多く取材。「朝日新書」創刊に携わり、『一日一生』などベストセラーを多く手掛ける。「AERA」副編集長を経て現職。高校生、中学生の2人の母でもある。